自分は書店でも本をよく買うのですが、この本は図書館の返却本コーナーにあり偶然手に取りました。
前野隆司という名前に聞き覚えがあったのと、「他の人が借りている=需要のある本」という認識はあながち間違いではなく、お金や人生について深く考える良い契機となる良書でした。
「幸福学」って一体なんなのか?
筆者は科学的根拠や大規模調査によって、人間の「幸福度」と「お金」の関係性を調べている人物で、日本における「幸福学」のパイオニア的な存在。
「年収が増えれば、増えるほど幸せになれるのか?」という根源的な問いを中心に、「お金=幸せ」と思いがちな日本人の国民性や、「お金がなくても幸福な人の共通点」など、実験や考察に基づいたタメになる知見が多く、幸福学をはじめて知ったが「新しい学問」としての学びが多かった。
「地位財と非地位財」
地位財とは他人との比較で満足が得られる「金や社会的地位、物」の事を言います。
一方、非地位財は「愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識」などを指します。
研究によると地位財の幸福は長続きしないのに対し、非地位財の幸福は持続的で長続きします。
高級車に乗るより、好きな人とのデートのほうが幸福感が高く、優越感や他人との比較にとらわれない非地位財のほうが幸せが長続きすることが分かりました。
モノ消費するより、音楽ライブに行ったりとコト消費(体験)する方が幸せに結びつきやすいという自己体験談があったので、すごく腑に落ちた考察でした。
「お金は他人のために使用した方が幸せになる」
利他的な行為をすると、人間は「オキシトシン」という愛情ホルモンが分泌されます。
ボランティアや寄付、母親の子供への愛情などがそうです。
街で道案内したり、電車でお年寄りに席を譲ると大層な行為ではなくとも、どこか「気持ち良い」気分になる事が多かったのですが、あの正体がオキシトシンなのです。
利他的な行為が真の幸せにつながると実感しているからこそ、ビル・ゲイツやヴァフェットのような資産家が寄付するのはその代表例で、金銭の多寡に関係なく「他人のために行動する」精神こそが重要なんだなと思いました。
まとめ
日本人として生まれ、社会で働いていると「お金=幸せ」と思い込んでしまったり、豊かな生活をすることが成功の見本のような価値観や観念にとらわれてしまいがちです。
健康で文化的な生活をするのに最低限のお金は勿論必要ですが、所有欲や他人との比較から離れた価値観をもって生きることの重要性をこの本は説いています。
ただの媒介物であるお金に一喜一憂するのではなく、利他の精神や恋人との愛情、かけがえのない経験や体験に重きを置いて、「こころの豊かさ」をもっと意識しながら生きていくことがこれからの時代のキーワードになってくるのかなと、「幸福学」を通して強く思いました。